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プロ棋士に存在意義はあるのか?電王戦第5局観戦記 大崎善生(作家)

電王戦第5局観戦記 大崎善生(作家)

森下九段は「将棋というのは難しいもので、一手指せば負けてしまう。一手15分というルールでやらせてもらえれば絶対に負けない」と言い張ったが、私の胸には空しく響くばかりであった。
「アイデンテファイを問われているんだ」と私は酔ってT君に言った。

 「アルデンテハイって、それなんですか」と同じく酔いが回ってきたT君は童顔を真っ赤にして私に聞いてきた。アルデンテハイって、パスタの茹で加減じゃないんだから、といいかけたが私はじっと言葉を飲み込んだ。そういうことをT君に言うとますます話が面倒くさくなるからだ。

 「存在理由だよ」

 「存在理由」

 「そう。大げさに言えば棋士たちは、今、それを試されているといってもいいはずなのに、、」

 なぜか棋士たちの言葉は私にはどれもがのんびりとしたものに聞こえてならなかったのである。
「中よりは上じゃないか」とコンピュータの実力をどう思うかとの問いに谷川会長は搾り出すように答えたが、しかし去年、今年とA級棋士が連敗した現実を見ると、どうしても認識が甘いように聞こえてしまう。知り合いの棋士はタイトルホルダークラスと言っていたし、もう一人はA級は間違いないのではと言っていた。その辺りの認識をプロ棋士間でも洗いなおす必要があるのではないだろうか。

 疲れ果てた頭に様々な声が響き渡る。この疲れがただの体力的なものではなくて、やはり自分が信じてきた圧倒的な存在のプロ棋士が、完膚なきまでに打ちのめされたことからくるものであることはわかっていた。

 習甦の竹内プログラマーは「コンピュータは人間を打ちのめすためのものではない。手助けをするためのものだ」と言った。ポナンザの山本プログラマーは「人間にできることはコンピュータにできると思っている」と発言した。

 どちらの言葉が正しいのかもわからない。ただしおそらくどちらもまったくその通りなのかもしれない。

 1勝4敗という結果はあまりにも重い。その結果をどのように飲み込めばいいのだろうか。

 日本将棋連盟も最強の切り札を切って、プログラマーたちの言葉を打ち消すときが来ているのではないだろうか。もちろん記者会見ではその質問も飛んでいた。コンピュータには追いつけない人間の最高の知能を見せて欲しい―。いや見てみたい。人間の持つ勝負勘、構想力、全知全能を最大限に駆使した戦いをだ。

 午前3時、まだ外は暗い。

 酔いつぶれる前に私はT君と別れた。

http://news.nicovideo.jp/watch/nw1034773?news_ref=top_topics_soft
キャプチャ0
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